ボディに入った傷や黄ばんだバインディングなど、ビンテージの貫禄。

スプリット・ダイアモンド・インレイが入ったヘッド。

ペグはクルーソン製シールファストを搭載。

ストラップ・ピン部には、ひし形のプラスティック製の装飾板が付いた、レアな仕様。

フロント・ピックアップは「アルニコV」(P-480)をマウント。

リア・ピックアップはP-90を搭載。ブリッジとテイルピースはゴールド・メッキ仕様。

1973 Gibson Les Paul Custom '54 Black

Detail of 1973 Gibson Les Paul Custom '54 Black

ギブソン・レス・ポール・カスタム54リイシュー! 1953年後半、レス・ポール・モデルの上位機種として誕生したレス・ポール・カスタムはブラック・フィニッシュとそれを彩るゴールド・パーツから「ブラック・ビューティー」の愛称で親しまれたモデルです。デビュー当初はアルニコVとP-90のピックアップが搭載されていましたが、レス・ポール・モデルと同じく1957年にハムバッカー・ピックアップへと変更。1961年にはSGボディ・シェイプへと変わり、しばらくレス・ポールの生産が中止されます。

再生産が始まったのは1968年。1954年当初に発売されたカスタムはオール・マホガニー・ボディだったのに対し、新たにマホガニー・バック/メイプル・トップという仕様で再登場します。その後、1969年にはパン・ケーキ・ボディ・バック(マホガニー/メイプル/マホガニー)へと変わり、この仕様は1976年頃まで続きます。このような歴史を持つレス・ポール・カスタムに、初めてリイシュー・モデルが登場したのが1972年。デビュー当初の仕様を再現して作られたのがこの「Les Paul Custom '54」です。

 このモデルが生産されたのは、1972年と1973年の2年間のみ。非常に限られた期間のみ生産されていた貴重なモデルです。判断のポイントとして、シリアルの始めに「LE」の文字が入り、70年代モデルの特徴であるヘッド裏のボリュートはありません。ボディ・バックはパン・ケーキではなく、ソリッド・マホガニーが採用されています。「Gibson」ロゴの「i」にドットがないのは、1968年から存在します。

 全体的に塗装にウェザー・チェックが入り、黄ばんだバインディングが貫禄があります。しかし、傷は非常に少なく、オリジナルのナットとフレットもまだ十分に使え、とても良いコンディションを保っています。安定感のあるボディに、ネックの鳴りはバツグン。コレクションとしても良いですが、実戦で十分に使えるも即戦力のギターとなることでしょう。

 テレキャスターといえばキース・リチャーズというイメージがありますが、60年代後期にはライブでレスポール・カスタムを使いまくっていました。すべてのジャンルに対応できるギター、それがレス・ポール・カスタムといっても過言ではないでしょう。ケースは70年代のギブソン純正ブラック・ハード・ケース(中地は青)が付属しております。

Written by プロフェッサーKenny 岸本

平成8年入社。ヴィンテージ・ギターに関しての知識はイシバシでNo.1! プロ・ミュージシャンのお得意様も多く、彼のマインドに惚れ込み、多数お店に通っていただいている。また、英語力もまずまずのため、直接ギター工場のマスター・ビルダーたちと話し合いすることも。彼自身のフェイバリット・ミュージックはカントリー・ロック、ブルーグラスなど。