1964 Gibson Hummingbird Sunburst

1964 Gibson Hummingbird Sunburst

ハミングバードは、ギブソン社初のスクエア・ショルダー・シェイプを採用したアコースティック・ギターとして1960年に登場。このシェイプは言うまでもなく、マーティンのドレッドノートを意識したものですが、ギブソンならではのデザインが加味されており、その派手な出で立ちにより、ロック・ミュージシャンに支持されました。  最初に目に付くのが、ボディ・トップに貼られた派手で大きなピックガードでしょう。ハチドリが蜜を吸う光景をモチーフにしたデザインは芸術性も高く、その斬新さは今でも色褪せません。

実は現在でもギブソン社はこのピックガードの鋳型を所有しており、トゥルー・ヴィンテージ・モデルでは昔ながらの鋳型製法で作られております。現物を触って見ますと、描かれたラインはプリントではなく、ピックガードの表面が窪んでおり、その溝にペイントが施されています。

ブリッジはアジャスタブル・サドルで、土台はブラジリアン・ローズウッド製というのが基本ですが、中にはこの個体のようにプラスティック製というのもあり、この仕様のものはボディ・トップとボルトとナットで固定されています。ちなみにプラスティック・ブリッジはハミングバードに限らず、J-45やその他モデルなどにも多く見られます。

サウンドはギブソンならではの迫力のある力強いアタック感と、アジャスタブル・サドル&プラスティック・ブリッジによるパーカッシブな響きが融合し、コード・ストロークをプレイした時に、特に持ち味を発揮します。これぞ60年代のギブソン・サウンドとも言うべき、心地よい響きが得られ、弾いていて気持ちが高揚します。  スケールは、発売当初が24 3/4インチ(628.65mm)とJ-45と同じでしたが、1964年頃より25.5インチ(647.7mm)のものが多くなりました。

この個体もロング・スケールが採用されていますが、これによりテンション感のある響きが得られ、よりロック・テイストが感じられるサウンドを出力してくれます。1962年頃もロング・スケールのハミングバードが存在しましたが、これは1962年に発売されたダヴの生産ラインを読み違いから生まれたもので、余ったダヴのネックをハミングバードに流用したとも言われております。

また、60年代後半というとヘッド角度が17度から14度に変更される時期ですが、この1964年製は約16度という不思議なスペックを持ち、これも過渡期ならではのポイントでしょう。  ペグはゴールド・メッキが施され、プラスティック製のキーストーン・ツマミを持つクルーソン製で、1960年代ですとツマミがダブル・リングのはずが、よく見るとリングがひとつ切り取られた跡があります。これはハミングバードのヘッドは大きく、ツマミのこぶがヘッドに当るためだと言われております。

ペグはゴールド・メッキが施され、プラスティック製のキーストーン・ツマミを持つクルーソン製で、1960年代ですとツマミがダブル・リングのはずが、よく見るとリングがひとつ切り取られた跡があります。これはハミングバードのヘッドは大きく、ツマミのこぶがヘッドに当るためだと言われております。

ラフな感じだけど丈夫な構造がいかにもギブソンらしく、これが同社固有のサウンドを生み出す秘訣なのでしょう。現在もアメリカはモンタナ州ボーズマンの工場で、ギブソン・アコースティック・ギターは伝統に根づいた製品作りをしています。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

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