1968 Gibson L-5CES Sunburst

1968 Gibson L-5CES Sunburst

1951年に発表されたエレクトリック・バージョンのL-5は、スーパー400と並び、ギブソンのアーチトップ・ギターを代表するフラッグシップ・モデルです。

L-5はもともとロイド・ロアーの設計により、アコースティック・アーチトップ・ギターとして1922年に発売。その後、仕様を変えながらも進化を続け、エレクトリック・モデルに関しては、ジャズ・ギターの名手、ウェス・モンゴメリーを筆頭に多くの有名ギタリストらによって愛用されてきました。  この時期のL-5のボディ・サイズは全幅17インチで、ボディ・シェイプはフラット・トップのフラッグシップ・モデル、J-200の土台となっています。18インチのスーパー400と比べれば小ぶりですが、日本人からすればES-175を筆頭とするボディ・サイズが16インチ幅のモデルが扱いやすいでしょう。

ボディ材はトップがスプルース、サイド&バックがメイプルからなり、すべて単板材を使用。ちなみにトップとバックは、バイオリンと同じように削り出しによって作られています。マルチ・バインディング、エボニー・フィンガーボード、ブロック・インレイ、ゴールド・ハードウェアなど、一見するからにゴージャスな仕様のギターです。

もともと1951年当時のL-5には、ローズウッドのブリッジとドッグイヤー・カバーのP-90ピックアップを搭載。 その後、1958年頃までにはレス・ポール・モデル同様、ブリッジが各弦ごとにオクターブ・チューニングが可能なABR-1チューン・オー・マティックへと変更され、ピックアップもセス・ラヴァーが開発したオリジナル・ハムバッキング・ピックアップを装備するようになります。1960年代に入ると、先の尖ったフローレンタイン(ポインテッド)カッタウェイが採用されますが、68?69年にかけて再びヴェネチアン(ラウンデッド)カッタウェイへと戻されます。

今回入荷した個体は、カッタウェイが丸みを帯びたデザインに変更になった時期のもので、ピックアップはデカールにパテント・ナンバーが記載された“ステッカー・ナンバードPAF”と呼ばれるものが搭載されています。

この頃までのギブソンは本当に良い音をしています。不自然な硬さがなく、弾き手がイメージしたとおりの音色を汲み取る再現力に長けているという。とことんまでタッチ・ニュアンスに素直で、ギブソンならではの素晴らしい深みのあるトーンが楽しめます。

ボディ・サイドやヘッドの角に数箇所タッチアップがありますが、ワンオーナーものでコンディションは良好。ナット、フレット、サドルなどの消耗品はきちんと交換されており、すぐに弾ける状態になっております。やや赤みの強いサンバーストが特徴的で、シースルー・カラーを通してハイグレードなフィギュアド・メイプルの木目が浮き上がり、見栄えの良さが魅力的です。さすがに本物、貫禄があります。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

所在地:〒101-0062東京都千代田区神田駿河台1-8-6 丸善ビル 1F / 2F

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