1951 Gibson Southern Jumbo Sunburst

1951 Gibson Southern Jumbo Sunburst

ギブソン・サザン・ジャンボは1942年にJ-45と共に発表された同社の定番モデルです。J-45よりも装飾が豪華なため、ルックスが派手に仕上がっているのが特徴。現在でもその人気は衰えていません。

今回の個体はスモール・ピックガードを備えた初期スタイルで、全体の重量も軽く、サウンド的にも大変人気がある仕様です。ボディ内のブレイシングが薄めに削られているため重量が軽く、この軽量さがパワフルなサウンドを生み出す秘訣となっています。ピックガードが小さいことも、表板の振動を妨げる要素が減るわけですから、鳴りの面で有利に働くことは言うまでもないでしょう。実際に弾いてみると、ボディ全体で共振しているのがよく分かります。

1940年代のサザン・ジャンボも野太いサウンドをしていすが、ネックがやや太いため、弾きにくい個体が多く見られます。その点、1951年製のこの個体の場合、ネックがほどよい太さのため、とても弾きやすく、ローからハイ・ポジションまでストレスなく弾けます。ちょうど50年代と言えば、ギブソン社がレス・ポール・モデルを筆頭に、数多くのエレクトリック・ギターの名器を輩出した時期で、こうした時代背景があったからこそ、プレイアビリティ抜群のネック・シェイプが誕生したと考えられます。この個体のネックも、50年代製のレス・ポールと似た太さとなっており、エレキ感覚で弾けちゃうところが魅力となっています。

1940年代後半よりネックにバインディングが入り、ブリッジはレクタンギュラー(長方形)スタイルからアッパー・ベリー・タイプへ変更。ロング・サドルを採用していることにより、弦の振動を素直に拾ってくれます。フィンガーピッキングで爪弾いても、軽やかに綺麗な音が立ち上がり、その一方で思いっ切りストロークをすれば、野太い音も出るという。プレイ・スタイル問わずに魅力的な音色を放ってくれるところから、50年代前半製のサザン・ジャンボは他の年代のものより万能だという高評価を受けています。

1955年からはピックガードがポインテッド・シェイプのラージ・サイズとなり、ブレイシングもよりタイトで頑丈な構造となったことで、そのサウンド・キャラクターはさらに変化していきました。  サンバースト・フィニッシュも年代によって、色合いやグラデーションの具合いが随分と異なります。初期のものはダークな色合いでしたが、戦後以降になると、まるでスポットライトが当たったかのように中央部が明るくなり、渋さと派手さが同居した感じは非常にカッコいいです。

今回紹介のサザン・ジャンボは、ボディ・トップに数ヶ所クラック跡が見られますが、しっかりとリペアされているので、サウンド面ではまったく問題ナシ。非常に良く共鳴しています。

今回紹介のサザン・ジャンボは、ボディ・トップに数ヶ所クラック跡が見られますが、しっかりとリペアされているので、サウンド面ではまったく問題ナシ。非常に良く共鳴しています。

ネックはリセット済みで、バッチリ調整されているので、プレイアビリティも抜群!! ガンガン本気で使えるギアとなっています。サウンドも50年代らしい野太いパワフルなサウンドが出る一方、バランスにも優れており、どんな音楽スタイルでも対応してくれること間違いなし。前オーナーによってガンガン弾き込まれながらも、これだけ調整が行き届いた個体は、そうはないでしょう。本当に良い音がしています。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

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