1940 Martin O-15 | 1946 Martin O-17 Extra Edition

1940 Martin O-15 | 1946 Martin O-17 Extra Edition

マーティン・ギターのシングル・オー・サイズ・モデルは、同社の記録によると1884年から存在し、歴史があります。そんなシングル・オーの中でボディ・トップ材までマホガニーを使用した通称“オール・マホ・ボディ”のO-15とO-17を紹介します。

■O-15 (1940)

まずは1940年製のO-15。1935年にデビューし、当初はメイプル材かバーチ材が使用されたものが存在するようです。1940年より本格的に生産されるようになり、この個体は初期モノになります。その後、1961年まで製作され、O-17の廉価バージョン的な存在でした。  仕様はボディとネックともにマホガニーを用いており、指板はエボニーかと見間違えるほど色が濃く、木目の詰まったブラジリアン・ローズウッドを使用しています。

O-17との違いは、指板上のドット・インレイが7と12フレット上でダブルではなくシングル・ドットであるところが見分けるポイントとなっております。ボディ内を覗くと、ネック・ブロック上に“O-15”とスタンプされているので、ここでも確認できます。

ボディ内の力木は1940年製のため、スキャロップド・ブレイシングを採用(1944年まで)。力木自体が細いため、修理で交換されてしまうケースがありますが、この個体はオリジナルの状態を保っています。

サウンドはスキャロップ・ブレーシングの効果もあり、低音域がとても豊かで、フィンガーピッキングで弾くと、小振りなボディならではの繊細な高域と混ざり合い、極上のトーンを出力します。サウンドも魅力的ですが、見た目もとても良く、なんとヘッド表面の化粧板にタートイズ・シェルが貼られた、非常にレアなスタイルになっています。ペグは止めブッシュがないタイプで、ヘッド表面の印象はスッキリしていて、カッコイイです。

■O-17 (1946)

続いて1946年製の0-17。材の仕様はO-15と同じですが、戦後モデルのため、ブレイシングはやや太めです。その影響か、戦前ものに比べると、少し太い音がし、ビンテージならではの味わい深い鳴りが味わえます。ペグは60年代のグローバーに交換されており、ボディ・サイドにエンドピン・ジャックが後付けされ、ジャック穴を埋めた修理跡もあります。

O-17は1906年に登場し、ファースト・バージョンはスプルース・トップでした。しかし1929年からのセカンド・バージョンはオール・マホガニー・ボディとなり、1932年まではピックガードが付いていません。生産期間は1929?48年、1966?68年まで。1949?61年の間はO-15が代役として生産されていました。その後、1966年に黒いピックガードを備えて復活をしますが、1968年までの間、わずか7本しか生産されず、そのまま生産終了。その後、シングル・オー・シリーズは、O-16NYとO-18だけが生産されました。

ホンジュラス産と思われる、質のいいマホガニーが使用されていることもあり、弾いていて感動すること間違いなし。現在、マホガニーに限らず良質な木材が入手困難なだけに、材が潤沢にあった時代のヴィンテージ・ギターは今後ますます稀少価値が上がっていくでしょう。それにしてもマホガニー材は本当に素晴らしい。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

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