1955 Gibson J-200 Natural

1955 Gibson J-200 Natural

今回はキング・オブ・フラット・トップ、J-200が入荷しました。しかも1950年代製の中でも滅多にお目に掛かれないブロンド・フィニッシュ!!

J-200は1938年に当時としては破格の200ドルの売値で発売。40年代までは[スーパー・ジャンボ]というモデル名を名乗り、その後は[スーパー・ジャンボ200]、[SJ-200]と機種名は変更されていきました。そして1947年には本体のラベルには[SJ-200]と記されたものの、カタログ上では[J-200]と表記されました。ちなみにラベル上で[SJ-200]と記されたのは50年代初期までと言われていますので、今回の1955年製はラベルに[J-200]と書かれた初期ものということになります。

ナチュラル・カラーが登場するのは発売から10年後の1948年。戦前まではボディ・サイド&バックにローズウッドが使用されていましたが、戦後からはメイプルを採用。倍音と基音ともに華やかな響きを放つローズウッドに対し、メイプルはきらびやかさの中に、ややコンプ感のあるサウンドが持ち味となっており、これが今日のJ-200のサウンドを形作ったと言っても過言ではないでしょう。

特に人気が高いのは、やはり1950年代で、力強い鳴りが特徴です。60年代に入るとチューン・オー・マティック・ブリッジが搭載され、より歯切れの良いジャッキッとしたサウンドになります。今回の1955年製はブリッジが初期タイプのムスタッシュ(髭)ブリッジで、両サイドがくり抜かれています。これに対し60年代のチューン・オー・マティック・ブリッジを搭載していたタイプは、両側がくり抜かれておらず、その箇所にインレイが施されていました。  ペグはクルーソンで、ノー・ライン、シングル・リング、シャフト・ホールありという仕様を持つ、1953?56年頃のスタイルで、59年以降から搭載されたグローバー製ロトマティックに比べて軽量なため、ギターの鳴りにも影響を与えています。

J-200はボディ内部構造に特徴があり、何度かに渡ってダブルXブレイシングが採用されました。まずは発売年(1938年)からすでに導入されましたが、1942年にシングルXブレイシングへと変更。その後、1952年にダブルXブレイシングは復活しますが、初期とは異なったスタイル(配置位置や角度)となっていました。その50年代のダブルXブレイシングは、サウンド・ホール付近を境に、ボディ上部と下部にX字型の力木を配置させ、それぞれのX字の角度が広いのが特徴。17インチというフラット・トップ・アコギとしては大きなボディを持つがゆえに、表板の強度をしっかり確保するために、こうした構造になったと思われます。力木の本数が増えたことにより、トップ板の振動は制御されてしまいましたが、この時期にボディ厚が深くなっているので、この仕様変更により、パワフルなサウンドは健在。特にフラット・ピックでストロークをかき鳴らした時のサウンドは、たまりません!

今回の個体はオリジナル度も高く、コンディション面も文句なしの1本です!! ナットとサドルは交換済みで、ブレイシングが変形したため、ブリッジ・プレート直下のトーン・バーが2本交換されています(オリジナルのブレイシングも、もちろん付属してます)。貫禄十分、迫力満点のサウンドをお楽しみあれ。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

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