黄色とオレンジが鮮やかな60年代中期のサンバースト。

虎杢の入ったネック。

ネック・デイトはスタンプで、65年6月のAネックと記されている。

ネック・プレートに刻まれた、最後期のLシリアル・ナンバー。

CTS製のポット。

この時期のピックアップはグレイ・ボビンを採用。

1965 Fender Jazz Bass 3 Color Sunburst

  • Brand: Fender
  • Model: Jazz Bass
  • Color: 3 Color Sunburst
  • Year: 1965
  • Serial Number : L99xxxx
  • Neck Date : 7 JUN 65 A
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Detail of 1965 Fender Jazz Bass 3 Color Sunburst

フェンダー・ベースの歴史は、1951年11月にプレシジョン・ベースが製作されたことから始まります。1950年はエレクトリック・ソリッド・ギターが産声を上げた年であり、ブロードキャスター、エスクワイヤーなどのテレキャスター・ファミリーが製作された。また、この頃にストラトキャスターのプロトタイプの製作も始まります。

今回ご紹介するジャズ・ベースはその10年後の1960年に、プレシジョン・ベースより音色の組合せが多彩な革新的なベースとして登場します。1960-1962年までは、スタック・ノブという2段ポットが採用されており、また指板にはハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)材を使用したスラブ貼りで製作されておりました。1962年初旬には現在の3ノブ仕様(ボリュームX2、トーンX1)の仕様が採用され、ハカランダによるラウンド貼りの仕様へと変更されていきます。

 この1965年製ジャズ・ベースは、非常に珍しい明るめの色が印象的なハカランダ材が指板面に使用されております。また、この年でハカランダ材仕様は最終モデルとなります。1963年以降のラウンド貼りは、メイプル・ネックの指板接着面をラウンド状の凸に仕上げ、そこへ同じくアールで凹状に仕上げたハカランダ材を貼り合わています。ただ、フレットを打ち込む面は四角い状態で、表面をラウンドに削る必要があります。この手間のかかる作業に変更された理由は、メイプル材とハカランダ材の反り方の違いを(膨張効率の違い)を軽減するだけでなく、トラス・ロッドが指板面にかからなくなり、トラスの穴を二度空けする手間も省けることとなりました。また、フレットを打ち込むための溝を22ヶ所に製作されることで、指板面が22ヶ所に分割され、さらに互いの材の動きを軽減した最高のネックが完成したと言われています。

 ピックアップはグレイ・ボビンを採用。そのパンチの利いた粘りのあるサウンドは、ハカランダのラウンド指板と上手くブレンドし、1965年の独特なサウンドを醸し出します。そして、シリアル・ナンバー「L99944」は、『Gruhn's Guide to VINTAGE GUITAR』(編注)によると、フェンダー社最後のLシリアルで、大変稀少価値の高い楽器となっています!

 音楽シーンでも、ジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)の「幻惑されて」や、ジャコ・パストリアスの「バードランド」など、数々の有名フレーズがこのジャズ・ベースから生まれている。ジャンル問わず、素晴らしいベースであることは間違いない。

Written by プロフェッサーKenny 岸本

平成8年入社。ヴィンテージ・ギターに関しての知識はイシバシでNo.1! プロ・ミュージシャンのお得意様も多く、彼のマインドに惚れ込み、多数お店に通っていただいている。また、英語力もまずまずのため、直接ギター工場のマスター・ビルダーたちと話し合いすることも。彼自身のフェイバリット・ミュージックはカントリー・ロック、ブルーグラスなど。