1960 Gibson LG-2 Sunburst

  • Brand: Gibson
  • Model: Southern Jumbo
  • Color: Sunburst
  • Year: 1954
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1960 Gibson LG-2 Sunburst

今回はギブソン・スモール・ボディの代表器、LG-2をご紹介いたします。LG-2は1942年にLGシリーズの第1弾として登場しました。ボディはスプルース・トップにマホガニー・サイド&バックで、14フレット・ネック・ジョイントを採用。ボディ・サイズはコンパクトゆえに手軽に弾けることもあり、ブルースマンからシンガーソングライターらに使用され、ブルージィながらメロディアスな側面も持ち合わせた、非常に表情豊かなサウンドが特色となっています。

初期のLG-2は前回のサザン・ジャンボと同様、ヘッドのブランド・ロゴがスクリプト書体で、中央部にバナー・ロゴが入るなど、この時代固有のスペックを持ち、これらにより製造年が特定しやすくなっております。サザン・ジャンボの回(Vol.51)でも説明したとおり、1942?44年頃は材料不足に陥っていたため、ネックやブロック部に通常はマホガニーを使用するところを、メイプルやポプラといった材で代用され、トラス・ロッドが入っていないネックも存在したりと、戦時中ゆえの不安定さが露呈しております。

今でこそLG-2=マホガニー・ボディというスペックが当たり前となっていますが、初期のものメイプルを使用するケースもありました。トラス・ロッドなしのネックにメイプル・ボディの個体は、通常モデルに比べて、パンチの効いたラウドな音が出力され、独特の個性を放っています。特にネックは“BASEBALL BAT(野球用バット)”と表現されるほど太く、これが起因して、まるでバットの芯にボールが当たった時のような力強いサウンドを生み出します。

50年代中頃になりますと、それまで19フレットだった指板が20フレットまで打たれるようになり、ピックガードもスモール・サイズからラージ・タイプのものに変わります。この仕様変更により、音色も変わったことは言うまでもないでしょう。そして60年代に入りますと、それまでの渋いダーク・サンバーストから、明るいチェリー・サンバーストへフィニッシュも変更されました。今回ご紹介する個体も明るめのサンバーストが採用されています。

1962年にLG-2はBシリーズへと変更になりますので、この個体はLG-2の中でも後期スタイルに該当し、B-25に近いルックスとなっております。その他にも白/黒/白によるトップ・バインディングや、アッパー・ベリー・スタイルのアジャスタブル・サドル・ブリッジなど、B-25に受け継がれていった仕様が本器に見ることができます。

数々のマイナー・チェンジを重ねながらも、その時代のトーンを生み出してきたギブソンのアコースティック・ラインナップ。そうした中でLGシリーズは各年代ごとに個性豊かなため、全年代をコンプリートしたくなる方や、LG全シリーズ(1~3)を揃えたいと目論んでいるコレクターも存在します。LやJシリーズに比べて、それほど価格は高騰していないことも、人気の秘訣にもなっています。次回はLGとBシリーズの歴史を振り返りたいと思います。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

御茶ノ水本店FINEST GUITARS

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