1960 Gibson J-50 Natural

  • Brand: Gibson
  • Model: J-50
  • Color: Natural
  • Year: 1960
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1960 Gibson J-50 Natural

ラウンド・ショルダーのジャンボ・シリーズの中で人気の高いJ-50は、サンバーストのJ-45に対してナチュラル・カラーのモデルとして1945年にリリースされた。J-50は年式によりマイナー・チェンジが多いが、そうした中で1960年製の特徴を挙げると、ラージ・ピックガード、アジャスタブル・サドル・ブリッジ、1リングによるサウンド・ホール・ロゼッタといったところが代表的なスペックとなる。

ちなみにサウンド・ホール・ロゼッタが1リングから2リングになるのが1963年で、ラージ・ピックガードは1955年から採用された。セルロイド製のベッコウ柄ピックガードは、サイズが変わる前のスモール・ティアドロップ型よりデザイン的に主張が強く、よりギブソンらしいと感じる人も多いであろう。

アジャスタブル・サドル・ブリッジはもともと1956年からのオプションであったが、1960年代に入ると、ほとんどのギターに採用された。ブリッジとサドルの素材は何種類か存在するが、今回掲載のギターはブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)にセラミック製サドルの組み合わせ。ちなみにサドルにはブラス製のアンカーが打ち込まれており、これによりサドルの高さ調整が可能となっている。

ギブソン・アコースティックはシリアル・ナンバーにより年代がおおよそ判別できるようになっている。そのシリアル・ナンバーだが、最近のモデルのようにヘッド裏に刻印されるのは1961年からのことで、それまではネック・ブロックに記されていた。サウンド・ホールより覗くとファクトリー・オーダー・ナンバー(ロット・ナンバー)がスタンプされており、今回のJ-50も中を覗くとそれを見ることができる。

近年ギブソン社より発売されたヒストリック・コレクションはこの仕様を真似ている。

8桁のシリアル・ナンバーをヘッド裏ではなく、ネック・ブロックにスタンプした仕様を再現した限定モデルも存在し、こうしたこだわった仕様はギブソン・ファンの間で大変好評だったことも記憶に新しい。

ネック・シェイプはモデルごとに変えたというより、年代ごとに特徴が存在。ちなみに1960年製のネックは、50年代のやや太めなラウンド・ネックより厚みが若干少ない。これはサウンドにも影響を及ぼし、結果的に高域の抜けが良くなり、この年代あたりからじゃじゃ馬的と表現がされるようになった。

これに加えて、アジャスタブル・サドル・ブリッジの構造がストロークを弾いた時の独特なパーカッシブなリズム感を生み、これがギブソン・アコースティック・サウンドをさらに特徴づけたのは言うまでもないであろう。このふたつの要素が組み合わさって、ギブソンならではのロック・テイストあふれるアコースティック・サウンドが誕生したと言うこともできる。

たった1年違うだけでキャラクターがかなり変わるところがギブソンの面白いところ。そんなことを踏まえて、次回は1963年製J-45についてお話したいと思う。ギブソンのアコギは奥が深いんです。

Written by デューク工藤

本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。

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