1961 Gretsch 6129 Silver Jet Silver Sparkle
- Brand: Gretsch
- Model: 6129 Silver Jet
- Color: Silver Sparkle
- Year: 1961
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1961 Gretsch 6129 Silver Jet Silver Sparkle
アメリカを代表するトラディショナル・ブランドとして忘れてはいけないのが、「グレッチ・カンパニー」! 創業者のフレッド・グレッチはドイツからの移民として、ブルックリンに渡ったのが1883年。そのおよそ100年後の1933年にアーチトップ・ギターを作り始め、古き良きアメリカを感じさせる独特な意匠により、トップ・ブランドの仲間入りを果たし、現在も継続中の名門ブランドである。
数々のトップ・アーティストに愛用され、特にチェット・アトキンスの名を冠したシグネイチャー・シリーズは大好評で、50?60年代のグレッチの人気を不動のものとした。ところが1967年にボールドウィン社、1978年にはカスタム社による買収があり、苦難な道を歩み、繰り返される買収により、商品解体が行なわれていく運命を辿った。
今回は、ブライアン・セッツァー&布袋寅泰&チャーによるスーパー・コラボ・ユニットの結成(2007年)に合わせ、グレッチの中でも最上位機種であるシルバー・ジェットを紹介しよう。
グレッチ社を代表するセミ・ホロウ構造を持つ[DUO-JET]シリーズは、1953年の中旬にブラック・フィニッシュのデュオ・ジェットが発売されて以来、徐々にマイナー・チェンジが行なわれていた。そうした中で、トップにシルバー・スパークルをあしらったモデルとして、シルバー・ジェットが1955年にモデル・ネーム[6129]として発売された。実はシルバー以外にもさまざまなスパークル・カラーが用意されており、ゴールドやシャンパン、バーガンディー、タンジェリンなど、その種類は20近くあったという。これはグレッチ社が製作していたドラム用の装飾材を流用していたからで、1962年までスパークル・フィニッシュは製造されていた。
50年代はシングル・カッタウェイ・シェイプだったジェット・シリーズだが、1962年にはダブル・カッタウェイへと仕様変更される。ちなみにギブソン社も同年にシングル・カッタウェイのレス・ポールの生産を止めて、SGモデルへと移行。
エレクトリック・ギターの演奏法に変革があった時期で、ハイ・ポジションまでのアクセスを容易にしたダブル・カッタウェイ・シェイプは、いわば当時のトレンドだった。そのため多くのメーカーがこのシェイプをこぞって採り入れるようになった。ちなみにダブル・カッタウェイ仕様のデュオ・ジェット・シリーズは、1970年まで製造された。
現在ではシルバー・ジェットは、その美しい外観から、しばし50年代を代表するコレクターズ・アイテムとして珍重されている。また、保管状態の良いものが多く存在するが、ほとんどのシルバー・ジェットはコレクターの手に渡っているため、流通する球数は限りなくゼロに近い状況と言っていいであろう。そんな中、ブライアン・セッツァーはヴィンテージのシルバー・ジェットをレコーディングのみならず、ライブでもガンガン使用し、往年の50sロカビリー・サウンドを我々の前で披露してくれている。
Written by デューク工藤
本連載を執筆していた当時は渋谷店に勤務し(現在は御茶ノ水本店FINEST GUITARS在籍)、プロフェッサー岸本が一番弟子と認めた存在。数々のレジェンダリーなヴィンテージ・ギターを師匠と共に見て触わり、オールド・ギターに関する知識を蓄積。自身のフェイバリット・ミュージックは60~70年代のロックとブルースで、音楽趣向においてもヴィンテージ路線は貫かれている。
御茶ノ水本店FINEST GUITARS